株式会社PMIソリューションズ
PMI・M&A

M&A後に従業員が辞める理由とは?離職を防ぐPMIの進め方

M&Aが成立した直後に、譲渡側の従業員が次々と辞めてしまう——これは中小企業のM&Aで最も起きやすく、そして最も痛手の大きい失敗のひとつです。

事業を実際に動かしているのは人です。ノウハウも、取引先との関係も、現場の従業員が握っています。その人たちが抜ければ、買収した事業の価値そのものが目減りします

なぜ、M&Aの後に人は辞めるのか。そして、どうすれば防げるのか。中小企業庁「中小PMIガイドライン」の考え方をもとに整理します。

なぜM&A後に従業員は辞めるのか

根本にあるのは、変化に対する不安です。M&Aによって、従業員は次のような疑問を一斉に抱えます。

  • 自分の雇用や待遇はどうなるのか
  • 仕事の進め方が変えられてしまうのではないか
  • 新しい経営陣は信用できるのか

ここに情報不足が重なると、不安は不信に変わります。とくに成立直後、目に見える成果がないまま時間が過ぎると、現場には「このM&Aは必要だったのか」という空気が漂い、モチベーションが一気に下がります。

離職は「M&Aの失敗」に直結する

M&Aの満足度が期待を下回った買い手が挙げる要因のひとつが、まさに「相手先の従業員に不満があった」というものです。つまり従業員の離職や不協和は、M&A全体の成否を左右する問題として捉える必要があります。

裏を返せば、従業員の不安を早期に解消できれば、それはそのまま統合の推進力になります。

離職を防ぐ4つの打ち手

01

情報を「遅滞なく・等しく・正確に」伝える

M&Aの目的や経緯、新しい経営陣の情報を、すべての従業員へ同時に正確に伝える。一部にだけ先に伝わる、後から小出しにする——こうした伝え方が不信感を最も大きくします。

02

従来のやり方を、いきなり否定しない

これまでの仕事の進め方を頭ごなしに変えると、従業員は「積み重ねを否定された」と受け取ります。まず現状を尊重し、変える点は理由とともに丁寧に伝える。順序が信頼を左右します。

03

個別面談で、不安を「具体的に」つかむ

全体説明だけでは本音は見えません。個別面談で、誰が何に不安を感じているのかを把握する。キーパーソンには早めに情報を開示し協力を仰ぐことで、組織全体に安心感が広がります。

04

100日以内に「目に見える改善」を届ける

言葉だけでは信頼は積み上がりません。就労環境の改善など即効性のある取り組み(クイック・ヒット)を成立後100日以内に実行し、M&Aのメリットを実感してもらいます。

1対1の個別面談のイラスト(従業員の不安を具体的に把握する)
個別面談で、一人ひとりの不安を具体的に把握する。

経営者・キーパーソンとの関係も、同じくらい重要

従業員だけでなく、譲渡側の経営者との信頼関係も欠かせません。ポイントは3つです。

  • 譲渡側の経営者や事業に敬意をもって接する
  • 同時に、譲受側の考えも率直に伝える
  • 経営者の役割や在籍期間を、M&A成立前に合意しておく

成立後もコミュニケーションを絶やさず続けることが、信頼の深化と現場情報の把握につながります。

まとめ

  • M&A後の離職は、事業価値そのものを毀損する最大級のリスク
  • 原因は「変化への不安」+「情報不足」。放置すると不信に変わる
  • 対策は4つ:等しく正確に伝える/従来を否定しない/個別面談で不安を把握/100日以内に改善を届ける
  • 経営者・キーパーソンとの信頼関係も並行して築く
出典:中小企業庁「中小PMIガイドライン ~中小M&Aを成功に導くために~」

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